REVIEW No.2720

淫ら

Mo

映画 レビュー
Review

タイトルだけ見ると、もっと違う映画を想像していました。

でも、この作品で耳に残ったのは喘ぎ声ではなく、エレキギターの音と年老いた男の寂しさです。

レストランで自分の父親ほどの大学教授男と、カンニングを見逃してやる代わりに家に来いと誘われる。

承諾し、男の家で、男がエレキギターを弾いて、歌い騒ぐ。

独身なのか、離婚したのか、それとも最初からひとりだったのか。

部屋の空気が少し淀んでいる。

男は自慢げに楽しく弾いて、女もそれに合わせて歌っている。でも、そのギターの音が妙に切ない。

若い頃は何者かになれると思っていた男。

教授になり、社会的地位も手に入れたはずなのに、心のどこかではまだ青春の続きを探している。

ギターの弦を叩く音が、そんな諦めきれない人生の残響みたいに聞こえてくる。

古い木造住宅の軋み。

静かなのに居心地が悪い。

まるで温くなったビールみたいな時間が流れていく。

この作品、決して気持ちの良い映画ではありません。

でも、孤独って案外こういう音がするのかもしれない。

誰にも届かないギター。

誰にも言えない後悔。

誰にも触れられない寂しさ。

そんなものが、夜の部屋の中でずっと鳴り続けています。

男が弾いていたのは音楽じゃない。

若さを失った男の、最後のアンコール。

Music & Sound
Music Review — Coming Soon

音楽・サウンドの詳細レビューを準備中です。
作曲家・印象的なシーン・サウンドトラック情報を近日公開予定。

Trailer
『淫ら』の予告編を観る
YouTube で検索して開きます
Watch Now — どこで観れる?
Amazon で探す