(原題: Les Saveurs du palais )
1988年から2年間ミッテラン大統領のプライベートシェフ ダニエル・デルプシュ(エリゼ宮殿初の女性料理人)の半生を描いた、フランス映画です。
じつはフランス版『 南極料理人 』って事で観てみたのですが、コメディではありません。
ミッテラン大統領の料理人がモデルとなっています。
フランスの田舎でレストランをやっていたラボリ。
おのジュエル・ロブションに推薦されます。大統領専属の料理人として。
なにしろ大統領官邸のエリゼ宮には24人の料理人がいて、年間7万食も料理を作っている大所帯。
使用されている食器類も、ルイフィリップ時代からの食器で、毎日1時間半も磨いているという。
田舎のレストランを1人でやっていたラボリには荷が重いのですが、ロブションの推挙となれば断るわけにはいきません。
とはいえ、24人の料理人の長、シェフもスーシェフも歓迎ムードではありません。
古今東西料理人の世界は閉鎖されてるものですからね。
仕入れに関しては、仕入れ部長の管轄で、たとえシェフであっても従わなければならないという厳しいエリゼ宮のしきたりがあるのです。
なぜ大統領は、ラボリを専属の料理人にしたのでしょうか?
彼は、洗練された技法に凝った料理は好きではなくて、素材の味を感じられるシンプルな料理が好みでした。
ラボリの田舎のおばあちゃんの味は、彼の好みにピッタリだったのです。
エドワール・ニニヨン『フランス料理賛歌』という古いフランスの料理本を、子供の頃に愛読していたという大統領は、彼女を大変気に入り、仕入れに関しても自由を与えます。
大統領のお墨付きを手に入れたラボリは主厨房のシェフ以下24人の料理人と対立します。
このプライドの高さが、鼻につく人もいるかも知れません。
あと料理人なのに、食材を部下に向かって投げつけるシーンがあるのですが、どうも鼻につきます。
やがてエリゼ宮に経費削減の波が押し寄せます。
食材が高過ぎる、カロリー過多だから料理は全て蒸し煮にしてソースを使うな等など。
フランス料理の命であるソースを使わせない栄養士とも対立、仕入部長とも対立します。
孤立無援となったラボリが深夜の厨房に1人でいると、大統領がふらりと訪ねてきます。
ラボリが地元で作ったトリュフ畑から、初トリュフが入ったってね、見せてくれないか?と。
自慢の食材を仕入部長にこき下ろされた後に、大統領の一言がどれだけラボリの救いになったでしょう。
トリュフをカットして、1枚のパンにトリュフバターを塗り、トリュフを並べて大統領にお出しします。赤のワインと一緒に。
このシーンがとってもステキなんですよね。
トリュフパンを食べながら大統領は「最近イジメられてるらしいね。 私もだよ。 逆境だ。だが逆境だから頑張れる。 人生のトウガラシだ。」とだけ言って、厨房を後にします。
大統領の料理人の後、南極料理人となったラボリのシーンが交互に映し出されるのですが「幸せとは何か?」を問いかけてきます。
緊張と緩和のシーンが交互に映し出されます。
南極料理人としての有終の美を飾るのは、南極基地全員が開いてくれた送迎会。
蛍の光フランス語バージョンで送り出されます。
エリゼ宮にいた時は、味方は大統領と数人のスタッフ、他全員敵だったのに、南極基地ではみんなに愛されていました。
どちらが彼女にとっての幸せだったのでしょう?
私たちも今の境遇に甘んじていることが、果たして本当の幸せなのでしょうか?
それにしても出てきた料理が全部美味そうなのですが(笑)
あぁ、フレンチが食べたいっ! そう思わせる映画です。
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